夢の共演を楽しみながら、世界のトレンドを体感。

いよいよスタートしたワールドクラス2012。そのプロローグともいうべきカクテルトレンドセミナー&オリエンテーションが東京・名古屋・大阪で開催されました。セミナーでは2011年世界大会優勝者セルリアンタワー東急ホテルタワーズバー「ベロビスト」の大竹 学氏と2010年優勝者イギリス・ロンドンサヴォイホテル「アメリカンバー」エリック・ロリンツ氏が同じテーマでデモンストレーションを行うなど、夢の共演を間近に見る貴重な機会も。2011年の優勝者が日本代表という話題もあり、例年にない多くの参加者が集い、大いに盛り上がりました。

最新の技法は、「プロセス」でゲストを魅了する。

 世界大会の概要説明、2人の世界チャンピオンへのインタビューと、対象ブランドであるシロック(ウォッカ)、タンカレー ナンバーテン(ジン)、ドン・フリオ(テキーラ)、ザ シングルトン グレンオード(シングルモルトウイスキー)の紹介のあと、エリック・ロリンツ氏が最新のバートレンドについて解説。スモークによる演出と香りづけでゲストを楽しませる「スモークカクテル」。素材を小さな樽に詰め、4週間ほど寝かせる「熟成カクテル」。ドライアイスを使った華やかな演出がサヴォイホテルでも、うけているという「アロマ・スチーム」。料理の手法からヒントを得た泡のガーニッシュ「エア」など、カクテルを仕上げる過程そのものがパフォーマンスになることを教示してくれました。ロリンツ氏自身、「今のお客様に喜んでいただくためにどうアレンジするか、いつも意識している」といいます。

 そしていよいよ、2人の世界チャンピオンによる「Classic Cocktail with a Modern Twist」「Gentleman’s Drink」のデモンストレーションへ。

これが世界の頂点。華麗なテクニックに会場が沸いた。

 先にカウンターに立ったロリンツ氏はGentleman’s Drinkとして「OLD HOUSE FRIP」を披露。シングルトンをベースに銅製マグカップでスローイングし、素材をミックスさせていきます。冷たくしても温かくしても美味しいというこのカクテル、ホットの場合、イギリスのサヴォイホテルでは暖炉のポーカー(火かき棒)で温めるのだとか。Classic Cocktail with a Modern Twistは自家製のスパイスミックスを使った「SMOKED BLOODY MARY」。先ほど氏が語っていたスモークとエアの技法を利かせた見事なツイストぶりで会場を沸かせます。

 対する大竹氏は、マルガリータのツイスト「My Green Salad Margarita」で、フードと合わせたサラダ感覚のカクテルを披露。次にインドの世界大会で好評を博した、シロックとコーヒーリキュール、インドの代表的なスパイス・カルダモンのハーモニーが絶妙なGentleman’s Drink「From India with Love」を、世界大会で留意したことなどを語りながら披露してくれました。
「Classic Cocktail with a Modern Twist」は第一次書類審査の課題でもあります。参加者は2人の作品を試飲しながら、イメージをふくらませることができたのではないでしょうか。

制限時間内で自分たちのモダンツイストを創作する。

 後半のメインイベントは参加者によるインタラクティブセッションです。これは5つのクラシックカクテルから1種類を各グループのテーマとし、それをツイストした作品をアイディアを出し合って仕上げていくというもの。大竹氏、ロリンツ氏がともに試飲し、審査をしていきます。課題となるクラシックカクテルは「ロブロイ」「ラスティネイル」「カミカゼ」「マルティネス」「マタドール」。
各テーブルにはバーツールが配られ、カウンターにはスピリッツや海外から取り寄せたビターズのほか、フレッシュフルーツ、16種のスパイスなどが並びます。10のテーブルで試行錯誤が続けられましたが、どれもクオリティの高いものでした。その中で評価の高かったのは“なぜこのようなツイストをしたか”という理由やコンセプトがしっかりと説明できたグループ。これはこれから行われるJAPAN FINAL、世界大会でも重要なポイントとなってきます。
  「きれいで丁寧、繊細な日本人のもてなしの心を忘れずに」という大竹氏に、「なくすものはない、ギブアップせず努力を続けて」というロリンツ氏。2人の世界チャンピオンからのエールを胸に、世界への挑戦が始まります。