アンガス・ウィンチェスター氏の博識ぶりは、ジンやタンカレー ナンバーテンに関する知識にとどまらず、各ブランドの製法や特長などに関する詳細なレクチャーはもちろん、世界的なバートレンドも紹介。今ハーブが流行しているが、次に来るものとしてスパイスが注目されていることにも言及。実際、アンガス氏自身による実演でも、タンカレー ナンバーテンを使ったカクテル「Tanqueray #4」などを披露。カルダモンがタンカレー ナンバーテンのボタニカルの風味を強調するとともに、ブラックペッパーがきりっとした後味を演出していました。シンプルではあるがブランドの特長を引き出すカクテルを紹介するとともに、新しい技術や技法などについても講義が進み、進化するバーカルチャーの一端を知る貴重な機会となりました。
後半はユニークなインタラクティブセッション。参加者がグループに分かれ、それぞれクラシックカクテルを発展させたオリジナルカクテルを創ります。制限時間30分。限られた時間でアイデアを競うチャレンジは、世界大会さながら。グループごとに相談して一つのカクテルを創るという普段なかなかない試みに、参加者は戸惑いつつもお互いの意見をぶつけ合っていました。
会場には素材としてスピリッツやリキュールのほか、フルーツやハーブ、八角や青唐辛子、梅塩、デコポンなどと多彩なものが並び、素材の選定やネーミングに悩む姿が見られましたが、オレンジをくりぬいてグラスに仕立てたり、ガーニッシュにハーブをふんだんに使ったりと、視覚を楽しませる大胆な演出も。アンガス氏は一つひとつ試飲しながら拍手で評価していました。
中止となった3月のセミナーでしたが、このために韓国から来日していたワールドクラス 2010 世界2位のドーファン“ルイス”オム氏の協力のもと、カクテルデモを撮影。世界大会で披露したカクテルのいくつかを、説明・演出を交えながら紹介するとともに、各チャレンジに臨む心構えやポイントをアドバイスしてくれました。第2次書類審査に臨むうえで非常に参考になるこの映像は、シングルモルトやブランドに関するセミナーとともにDVDに収録し、参加者に配布されることとなりました。