「さあ、究極のフードマッチングをお楽しみください!」大胆に両手を広げた大竹さん、一番手としてチャレンジを盛り上げました。フードマッチングは、用意された6つのフードから2つを選び、それぞれに合ったカクテルを1つずつ創作するというもの。「フードに合わせたカクテルを、というオーダーは実際多い。お客様をいかに満足させるか、すべてが普段の営業につながります」と、ある審査員。グリルでの経験やソムリエの知識を存分に生かせます。昨今のバートレンドを反映するように、新鮮なハーブ、野菜をふんだんに使いながらファイナリストのアイデアが披露されました。大竹さんはネーミングも大胆。サーモンに合わせ、タンカレーナンバーテンをベースにしたカクテルは「『タンカレーノックアウト』。おいしさでダウンします!」。
往復の時間も含めて40分間でスーパーマーケットにて買物をし、対照的な2種類のカクテルを創作するチャレンジ。地方からのファイナリストは地元と東京の品揃えの違いに困惑し、遅い時間に会場を出たファイナリストは品切れに悩まされ、と買物自体がスリリングだった様子。ギャラリーにとっても彼らが何を手に戻ってくるのか、目が離せない展開に。 |
審査2日目。スタート前、「初日は緊張した。今日はもっと楽しみながら、いつもの自分を出したい」と語るファイナリストたち。そんな彼らにとって、第二次書類審査の応募作品を披露するこのチャレンジは自分独自のカラーを推す絶好の機会。材料、道具類、グラスウェアとも全くの自由。味と技術はもちろん演出も大きなポイントです。大竹さんはドライアイスとエルダーフラワーを使い、雪の中の芽吹きを繊細に表現。ガラスのドームカバーから白煙が流れるさまが希望に満ちた春を思わせました。
目立っていたのが、和の素材とユニークなツールづかい。和素材は、緑茶、桜の塩漬け、ゆず、和三盆、日本酒、木の芽などが登場。なかには紺のはっぴ姿で「花見」の演出も。ツールは、サイフォンあり、注射器あり、手作りのアロマキャンドルあり。真空装置を使い、フルーツを常温沸騰させた作品には、審査員から感嘆の声があがりました。
課題となっている6種類のカクテルをいかに早くおいしく仕上げるか、スピード、バーテンディングスキル、味覚、見栄えのすべてを競います。スタートから4分を過ぎると6秒ごとに1ポイントのペナルティ。「練習より時間がかかった」という声もありましたが、ごく限られた時間の中で、ステアやスローイング、砂糖の選び方、ベースやリキュールの配分などに独自の解釈を与え、対象ブランドに合わせて個性を出していたのはさすが。BGMも自分で選べるとあって、ロックやジャズ、ドラマのテーマ曲などで盛り上げてくれました。ここでも大竹さんは4分48秒と最速をマーク。最年少のファイナリスト園田さんが4分57秒と続きました。
審査後は各チャレンジで使われたブランド、シロック(ウォッカ)、タンカレーナンバーテン(ジン)、シングルトン(シングルモルト)、ドンフリオ(テキーラ)のカクテルを楽しむパーティ。2010年の台湾大会優勝者・世界大会6位のアンガス・ゾウ氏、日本大会優勝者・世界9位の渡辺 匠氏が見事なスローイングで行ったブルーブレイザーや、ドライアイスやスモークマシーンを使ったオリジナルカクテルも披露してくれました。
そしていよいよ結果発表。大竹さんの名前が呼ばれた瞬間、大きな拍手と喝采が。「この日のためにがんばってきました」と涙声の大竹さん。9人のファイナリストも2日間の闘いが終わり、心から祝福とエールを贈っていました。
今回の日本大会は震災後ということで、いくつもの作品や衣装に「日本がんばれ」の想いが表現されていました。大竹さんにはそれらの想いも、ともに世界の舞台で昇華させてほしい。インド・ニューデリーでは34カ国の代表と6つのチャレンジで新たな戦いが行われます。
日本のバーテンダーの想いとともに、世界へ!
<優勝>大竹 学様(セルリアンタワー東急ホテル タワーズバー ベロビスト)
<2位>吉田 茂樹様(セルリアンタワー東急ホテル クーカーニョ)
<3位>宮﨑 剛志様(奈良ホテル)
<ファイナリスト>
大竹 学様(セルリアンタワー東急ホテル タワーズバー ベロビスト)
齋藤 恵太様
園田 光弘様(ヒルトン大阪)
中垣 繁幸様(BAROSSA cocktailier)
藤井 隆様(Bar, K)
宮﨑 剛志様(奈良ホテル)
宮之原 拓男様(BAR ORCHARD GINZA)
門間 輝典様(札幌プリンスホテル スカイラウンジTop of PRINCE)
柳澤 延久様(バー&グリル ワルキューレ)
吉田 茂樹様(セルリアンタワー東急ホテル クーカーニョ)