
セミナーは知識に終始するのではなく、感覚に訴える部分も多く占め、参加者の興味をひきつける内容となった。テイスティングでは日本での入手が難しいもの、あまり馴染みのないものに触れてもらおうと、スパイク氏が参加者のために直々にセレクトしたスピリッツが並んだ。ジャガイモを原料としたポーランドのウォッカ「ルクスソヴァ ウォッカ(Luksusowa)」、ジンの新トレンドとして注目を集めているウェスタンドライジンの「アヴィエイションジン(Aviation)」。さらに、スパイク氏が知り合いから特別に譲り受けた蒸留前のウィスキーの原酒等々。
また、ジュニパー、コリアンダー、アンジェリカといった実際にタンカレーナンバーテンに使われているボタニカルも用意され、会場のあちこちでつぶしたり、口に含んだりしながら真剣にフレイバーを確かめるシーンが見受けられた。
セミナーのハイライトは6種類のオリジナルカクテルによるデモンストレーション。世界のトレンドとスパイク氏の創造性を体感できるデモンストレーションは約1時間にもおよんだ。
シロックでは、ギリシャの伝統的なリキュール、スキノス マスティカ(Skinos Mastica)と自家製キュウリシロップのカクテルにアップルフォームを乗せた「マスティック スパ(Mastic Spa)」を紹介。これは昨年のワールドクラスの優勝者、アリストテレス氏からアイデアを得たもの。目の前でスパイク氏の枠にはまらない、熱のこもった実演が見られるだけではなく、実際に試飲も行われた。南米のマテ茶とシングルトンをベースに、ミントと生姜のマッシュを加えたカクテル「ジェルバ マルティート(Yerba Maltito)」は、ペルー産のビターを使い、アルゼンチンでハーブティを飲むときに用いられるひょうたんのコップとボンビジャ(Bombilla)と呼ばれるストローでサーブ。
スパイク氏は情熱的なプレゼンテーションの中で、カクテルのテーマの重要性と自由な発想、バーテンディングを通して人を楽しませ期待させることの大切さ、展開の広がりについて伝えた。その圧倒的なパワーの前に、参加者は大いに刺激を受けていたようだ。
