「驚異的な速さだったらしい」と参加者の間に噂が広がった、鎌田さんの《スピードチャレンジ》。

ロンドン大会を機に視野が広くなり、世界がぐっと近い存在になりました。

日本大会をみごと優勝で飾り、日本代表として出場した世界大会では《サーブシアターチャレンジ》部門
優勝を果たした鎌田 真理さんに、大会を通じて得られた経験・感想について語っていただきました。

応募の動機は?

 世界戦につながっている。それも参加者全員に平等にチャンスが与えられている。優勝すると自分のレシピブックが世界各国で発行されるというのにも惹かれました。日本のスタイルでいくべきか、海外を意識した方がいいのか迷いましたが、ブランドアンバサダープログラム※に参加して“自由” だということがわかり、その後は「普段やってみたい」と思っていたことに挑戦し、自分自身を最大限に表現することに集中しました。日本大会の最終実技審査では「カードを引いてそのテーマにあわせて作る」「話しながら作る」など、今まで経験したことがないスタイルにかなりカルチャーショックを受け、同時にその新しさに興奮しました。

代表に選ばれたときは?

 ロンドン行きのチケットを渡されたときは「どうやって勝てばいいんだろう?」「世界大会当日までに何ができるんだろう?」とずっと考えていて、プレッシャーに押しつぶされそうでした。

世界大会へ向けての準備は?

 6つのチャレンジの中でも、《サーブシアターチャレンジ》を理解するのに苦しみました。スタッフの方に何度も質問して。ようやく飲み込んで、他の国の選手が絶対やらないこと、見たこともないことをやろうと。「それなら和風だ!」と問屋街に走って、使えそうなものをピックアップしてからコンセプトを考えました。チャレンジの準備はザ・ペニンシュラ東京のいろんな分野のシェフ、パティシエ、バーテンダーの仲間が手伝ってくれて。《サーブシアターチャレンジ》で使った5種類のチョコもパティシエの方と試行錯誤を重ねて作り上げたもの。本当にありがたかったです。

チャレンジに挑戦しての感想は?

 《クラシックカクテルチャレンジ》が難しかった。クラシックカクテルといっても半分くらいは「初めて聞いた、初めて作った、調べてもわからない!」グローバルのクラシックは全然違うんです。

世界大会の印象は?

 本当にみんな楽しんでいるんです。戦うという感じではなく、一緒に作り上げていくといった雰囲気が会場にある。誰かが表彰されれば自分のことのように喜べるんですね。日本だと悔しい気持ちの方が強いのに(笑)。同じ班の人とはお互い作品を飲んで感想を言い合ったり、お互い刺激し合っていました。審査員には「君はこうするべきだ」とアドバイスしてくれる方もいて、とてもシビアなことを言われました。でも、その方の作ったカクテルを飲んで「すごい人なんだ!」と納得。帰国してから実際にものすごい人だと知って驚きました(笑)。

大会後の変化は?

 ザ・ペニンシュラ香港へバーテンダー指導に行ったり、シンガポールのF1イベントにディアジオのVIP用バーテンダーとして招待いただいたり。雑誌取材もありました。この大会を機に視野が広くなったのと、世界がぐっと身近になりましたね。

次回参加者へのメッセージを。

 プレゼンテーションが自分をアピールする上で重要なポイント。普段の接客テクニックを巧みに使って、会場を自分の世界に引き込んでください。材料、スタイルなど制約が一切ないのも他のコンペティションにはない大きな魅力。温めていた“ネタ”を披露するまたとないチャンスです。

鎌田 真理
1999年にバーテンダーとしてのキャリアをスタート。2007年よりザ・ペニンシュラ東京のシニアバーテンダー。2002年より各種コンペティションに参加、入賞。ANA、INAXのオフィシャルブック、情報誌、女性誌へのレシピ提供なども手がけている。

※ブランドアンバサダープログラムとは、対象となるリザーブブランドへの理解を深めるためのセミナー。
前回はロンドンよりスパイク・マーチャント氏を講師として迎えて行った。