ジャパンファイナル

日本大会優勝者(敬称略)
金子 道人(LAMP BAR/奈良県)
総合第2位・3位受賞者(敬称略)
第2位門間 輝典(札幌プリンスホテル スカイラウンジ Top of PRINCE/北海道)
第3位八重樫 猛(オーセントホテル小樽 メインバーキャプテンズバー/北海道)
Challenge Winner(敬称略)
Signature Cocktail Challenge清崎 雄二郎(Bar LIBRE/東京都)
Tanqueray No.TEN Classic Challenge金子 道人(LAMP BAR/奈良県)
Don Julio Market Challenge金子 道人(LAMP BAR/奈良県)
Speed & Taste Challenge金子 道人(LAMP BAR/奈良県)

10人のトップバーテンダーが熱い戦いを繰り広げたジャパンファイナル 優勝は、4部門中3部門を獲得した奈良県のLAMP BAR金子道人氏!

世界一のバーテンダーを決めるコンペティション、ワールドクラス。
バー文化の価値を高め、バーを通じてお酒の楽しさや素晴らしさを伝える
“RAISING THE BAR”というワールドクラスのコンセプトに
もっともふさわしいバーテンダー日本代表は誰なのか。
世界大会が開かれる南アフリカ・ケープタウンへのたった一枚の切符を賭けて、
熾烈な予選を勝ち上がってきた10名のバーテンダーが、今年もビルボードライブ東京に集結。
4つのチャレンジで、お互いの技や味、おもてなしの精神を2日間にわたって競い合った。

01.審査員がお客様。まずはあなたの名刺代わりの一杯を。Signature Cocktail Challenge

今年のジャパンファイナルも、恒例のSignature Cocktail Challengeからスタート。そのタイトルどおり、自分を表現した挨拶がわりのカクテルを作成するチャレンジだ。しかし、ただ作るだけではなく、審査員をお客様と想定し、なぜこのカクテルを選んだのか、なぜその食材を使ったのかを、ひとつひとつ丁寧にプレゼンテーションしながら進めないといけない。さらに、このチャレンジの審査員にはなんと、ワールドクラス2011年世界大会チャンピオンの大竹学氏、2012年世界大会のチャンピオン ティム・フィリップス氏の姿も。ステージ上のバーカウンターの目の前で、世界一厳しい審査員がファイナリストの一挙手一投足をチェックしていた。
そのような状況の中、このチャレンジでまばゆい輝きを放ったのは、6番目に出場した東京Bar LIBREの清崎雄二郎氏だった。カクテルのテーマは「祝福」。スーパープレミアムジンであるタンカレー ナンバーテンの復活を祝し、復活祭という意味を持つイースターとかけて、その名も「イースター ・ナンバーテン」をサーブ。「古い皮を破り新しくなったタンカレー ナンバーテンを祝して」という清崎氏の想いが込められたこの1杯は、バニラやいちごをとり入れたシルキーな舌触りとタンカレー ナンバーテンならではの芳醇な柑橘系の香りが見事に調和。審査員をも唸らせ、1stチャレンジの勝者となった。

02.誰もが知る定番クラシックカクテルから、新しい2つのカクテルを作る。Tanqueray No.TEN Classic Challenge

2競技目は、180年以上変わらない製法で芸術的な味を守っているスーパープレミアムジン・タンカレー ナンバーテンを使用して、1種類のクラシックカクテルから2つの新しいカクテル、通称“ツイストカクテル”を作成する「Tanqueray No.TEN Classic Challenge」。クラシックカクテルに対する深い知識、そして新たな解釈を加えるための創造性、その両方が問われる非常に難易度が高いチャレンジだ。チャレンジするカクテルは、マルチネス、ブロンクス、ネグローニ、ザ・ラスト・ワード、アヴィエーション、クローバー クラブの計6種類からランダムに選ばれた。こちらのチャレンジでは、審査員としてワールドクラス2013年世界大会チャンピオンのデビッド・リオス氏が登場。前出の二人にも負けぬ厳しい評価で、選手の実力を見極めていた。
LAMP BAR金子道人氏が引き当てたのは、アヴィエーション。「飛行」を意味するこのカクテルは、ライト兄弟が飛行機による有人飛行に世界で初めて成功し航空機時代が訪れた、今からおよそ100年前に生まれたとされている。金子氏はそんな歴史にリスペクトを払いながらも、ゴマやゆずを取り入れたオリエンタルな一杯「ジパング・アヴィエーション」をまずはサーブ。そしてもう一杯は、本人曰く「雲の上をぷかぷかと浮かんでいるようなイメージ。優雅な機中の旅を思い描いた」という「コットン・アヴィエーション」。表面を雲に見立てたゼラチンが覆うオリジナリティの高い作品で、見事このチャレンジの勝利をつかみ取った。

03.予算5,000円、場所は近所のスーパーマーケット。限られた時間での材料探し。Don Julio Market Challenge

2日目は、サプライズ・チャレンジ「Don Julio Market Challenge」でスタート。当日の朝、ファイナリストに突然言い渡されたミッションは、「近所のスーパーマーケットで材料を購入し、それらを使用して2種類のオリジナルカクテルをつくる。予算は5,000円」というもの。買い物は1時間程度、さらにスーパーマーケットという限られた空間の中で、ファイナリストは創造性のあるカクテルを作るべく、知恵を振り絞った。
このチャレンジは、LAMP BAR金子道人氏が素晴らしいアイデアを披露し、昨日に続きウィナーに輝いた。スーパープレミアムテキーラ「ドン・フリオ」を生んだドン・フリオ・コンザレス・エストラーダ氏に深い敬意を表し、彼の魂と、そして彼を支え続けてきた家族をカクテルで表現。パッションフルーツ、チョコレートシロップ、レモンフレーバーの紅茶、グレープフルーツゼリー、オリーブオイル等の味や香りで、テキーラの作業工程をひとつずつ表現。そしてバニラビターズで樽熟成の香りをつけたあとは、労働と情熱の汗のシンボルとして、塩を足してフィニッシュ。ドン・フリオの精神を凝縮した「フリオズ・エスプリ」と、彼の大切な家族を描いた「ドン・フリオズ・アマーダ・ファミリア」の2杯で、文句なしの勝利となった。

04.心・技・体、バーテンダーのすべてが問われる究極のスピードレース。Speed & Taste Challenge

最後は、8種類のスタンダードカクテルを8分以内で作り上げる「Speed & Taste Challenge」。目にも止まらぬ速さの包丁さばき、美しい放物線を描くエアリング、力強いダブルシェイクと、まさにバーテンダーの真骨頂。オーディエンスからの人気も高いチャレンジで、会場は大きな手拍子と声援に終始包まれていた。しかし、スピード勝負であるがゆえに小さなミスが命取りに。食材や道具を見失い時間をロスしてタイムオーバーになったり、材料の分量を見誤って味に響いたりと、フィニッシュの笛が鳴り響くとがっくりと肩を落とす、落胆した様子のファイナリストも少なくなかった。
そんな波乱が起きやすいこのチャレンジを制したのは、なんとまたもやLAMP BAR金子道人氏。最後に登場した金子氏は緊張する様子もなく、司会者の「Are you ready?」の声に力強く「Yes!」と答え、自らの拍手でオーディエンスを盛り上げながらスタート。とても丁寧に作業を進めつつも、その動きには無駄や焦りがなく、順調にひとつずつ仕上げていく。そして20秒程度の余裕を残しつつ笑顔でフィニッシュ。スタンダートカクテルながら、見た目にも個性が光る8杯に、時折頷くしぐさも見せた審査員たち。こうして4部門中3部門を金子氏が獲得し、2日目のチャレンジも幕を閉じた。
こうして、2日間にわたる熱戦は幕を閉じた。ジャパンファイナル第3位は終始安定したパフォーマンスをみせた八重樫氏、第2位は高い技術で会場からも大きな拍手が巻き起こっていた門間氏。そして優勝は、3部門で勝利した金子氏が文句なしの受賞。「正直、めっちゃうれしいです。それ以外の言葉は何もありません」と、満面の笑みで語った金子氏。
最後は、毎年恒例の優勝者が自分のために作る勝利のカクテル。金子氏の1杯は、マルガリータ。地元・奈良の仲間や先輩たちに助けられて今日の結果につながった、ということで「奈良マルガリータ」と命名。奈良から世界へ。ケープタウンでもきっと、金子氏はその実力を存分に発揮してくれるはずだ。