worldclass 2014 GLOBAL FINAL

通算第6回目となるWorld Class Global Finalが、2014年7月28日(月)から
8月1日(金)までの5日間、エジンバラとロンドンの2都市を結ぶ形で開催された。
エントリーしたバーテンダーは史上最多の約20,000名となり、質実ともに世界最大規模の大会となった。
昨年は地中海を巡るセレブなクルーズパーティーという印象だったが、今年は原点回帰が強調された大会に。
ディアジオ社を象徴するブランドと言えば、世界No.1(※)スコッチウイスキー・ジョニーウォーカーが挙げられるが、
その発祥の地スコットランドから始まり、カクテル文化が花開いた都ロンドンへと繋がる流れには、
その長い歴史や伝統を感じた。Global Finalに登場したファイナリスト数は、史上最多の48カ国48 名。
チャレンジ数は、9チャレンジ、1ブラインドテイスティング、1筆記試験とこちらも過去最多。
華やかでありながらも参加バーテンダーにとっては肉体的にも精神的にもタフな大会であったと言える。
大会スタートの会場は、エジンバラ郊外のグレンイーグルスホテル。
好天に恵まれる中、頂点を決める熱戦の火ぶたが切って落とされた。

※IMPACT DATABANK2013に基づく販売数量

【AM】
ファイナリストである48名はまず4チームに分けられた。そして順にブラインドテイスティングから開始。その後2チームは、1st Challengeの「BLEND OF WORLDS」を開始、別の2チームは先に2nd Challengeの「SENSORY」からスタート。「BLEND OF WORLDS」はスコットランドで生まれたジョニーウォーカーが各ファイナリスト自身の故郷でどのような発展を遂げたかをカクテルで表現するという、スコットランドでのスタートにふさわしいチャレンジ。一方、「SENSORY」は、お客様の心に深く刻まれるような五感を刺激する1杯を創り上げるチャレンジだった。
【PM】
午後は、最初の2チームずつが入れ替わり、もう一方のChallengeを行った。そして上記2つのChallengeが終わった後、各部門の上位4名が発表され、2部門それぞれのミニファイナルを開催。日本代表のBAR HIGH FIVE倉上さんは、「BLEND OF WORLDS」では日本らしい抹茶を取り入れたジョニーウォーカー・カクテル「Spring Tea Gathering」を、「SENSORY」では麦茶を素材に日本の蒸し暑い夏を表現したカクテル「Nostalgia」をサーブ。唯一両部門のベスト4に選出された。
【AM】
早朝、エジンバラ駅を出発。ラグジュアリーな列車オリエント・エクスプレスのNorthen Belle号に乗り、ロンドンまで7時間かけて大移動。しかしバーテンダー達は気を抜く暇もない、車中ではブランド知識の基本を問う筆記試験が行われた。
【PM】
列車は、ロンドン市内のセントパンクラス国際駅に到着。駅構内のレストランとその前の通路を貸切り、バーカウンターを並べる。駅を行きかう人々も遠目で見えるようなオープンな環境の中で、3rd Challenge 「A TALE OF TWO MARTINIS」が行われた。このチャレンジは伝統的なマティーニと未来のマティーニを創作するチャレンジである。
1杯目のレトロマティーニ、倉上さんが選んだテーマはマリリンモンロー。映画「七年目の浮気」のあまりにも辛すぎて主人公が飲めないマティーニに砂糖を入れるシーンをイメージしたBlooming Martiniをサーブ。和三盆と共に桜の塩漬けを用い上品な甘さを引き出しつつ華やかな仕上がり。そして2杯目、倉上さんは未来のマティーニについて、サービングやグラス等によってカクテルは大きく進化していくと考えた。こちらでもマリリンモンローをテーマに、彼女を彷彿とさせる美しいハイヒール型のカラフェを用いシャネルNo.5のような香りを、様々なボタニカルを駆使して表現。カクテル名はMartini No.5。マティーニならではのシンプルでスマートな味わいに仕上げた。
【AM】
同じくロンドン市内で、4th challenge 「FIVE STAR CLASSICS」が行われた。伝統的なクラシックカクテルを3つ選択しモダンツイストを行うチャレンジであり、まさにファイナリストの技量が試される。このチャレンジでは5チームに分かれロンドン市内の有名な4つのバーに別れて行われた(The Savoy, The Connaught, The Artesian, The Edition, China Tang)。倉上さんが引き当てた会場はChia Tang。古き良き中国的なデザインを持つ洗練されたバーだ。ここで倉上さんは、ローリングストーンズの有名曲を彷彿とさせるモスコミュールのツイストカクテルPaint it Red、ロンドンのアフタヌーンティ文化とシェリー酒文化からヒントを得たEnglish Revival Tea、ロン・サカパの特長を黒砂糖で引き出したSouthern Wind Daiquiriをサーブした。
【PM】
5th Challenge 「WRITTEN WORD」。文字で書かれた言葉、例えば小説や詩からインスピレーションを受けたカクテルを創作するチャレンジである。いわゆるリチュアルシアターチャレンジと呼ばれるもので、華やかなプレゼンテーションを競う。この後、1回目のエリミネーションが行われ、ベスト16の発表。更に2回目のエリミネーションが行われ、ベスト12が発表された。各チャレンジでの高評価もあり、倉上さんは、ベスト16に選出される。夜は、翌日の会場The Shardに移動し、ZACAPA GASTORONOMYで提供される料理の事前試食が行われた。
【AM】
早朝、バーテンダーはホテルを出発し、ロンドン市内の有名な市場Borough Marketに到着。そこで限られた予算・時間の中でカクテルに使いたい素材を購入。
大会会場はThe Shard。伝統的な低層の建築物が多いヨーロッパ圏において最高峰となる87階建て310mの高層ビルである。その中の31FのレストランAquaにて、6th challenge 「KETEL ONE MARKET」が行われた。このチャレンジはまさに即興性が要求されるチャレンジ。早朝に市場で購入した材料しか使うことができず、短時間でその日の気候やお客様の状態等、様々なコンディションに合うカクテルの創作を求められるからだ。
その後、32FのレストランOblixに移動し、7th challenge 「ZACAPA GASTORONOMY」が開催された。フードマッチングチャレンジ、つまりカクテルと料理の双方を高め合うカクテルを創作するチャレンジである。
【PM】
そして午後はいよいよ、ベスト8を決めるエリミネーション発表。健闘を続けてきた倉上さんだったが、惜しくもベスト8への進出はならなかった。その後、Borough MarketにあるVinopolisで、8th challenge 「AGAINST THE CLOCK」が行われた。8分間で4杯以上最大8杯のカクテルを作るスピードとの戦いのチャレンジ。そして熾烈を極めたエリミネーションの結果、最終challengeに進めるベスト6発表が発表された。
【AM】
いよいよ最終日。トップ通過の6名がラストバトルの9th challenge「PUNCH AND GLASS」に挑む。内容はトレンドとも言えるパンチカクテルと自分自身の名刺代わりであるシグネチャーカクテルを提供するチャレンジである。会場は、テムズ川沿いのロンドンブリッジが見えるOld Billingsgate。日差しも強いオープンエアーの下、行われた。
【PM】
そして夜20時から、チャレンジ優勝&総合優勝発表。同時に2015 Global Finalの開催地が、南アフリカのケープタウンであることもサプライズ発表された。
【優勝】 Charles Joly (アメリカ代表) バー: The Aviary, Chicago
9つすべてのチャレンジにおいて高得点を獲得し、最終的に総合得点もNo.1に。苦手なものがなくオールマイティにこなせたCharlesが2014年のウィナーとなった。
【総論】
過去にない高いレベルの戦いとなり、全体的には「技術レベルの向上」「丁寧で綺麗な仕事」が目立つ大会となった。各ファイナリストそれぞれが「器具を大切に扱う」「テーブル上に材料をこぼしたら綺麗にふき取る」「バックバーを整理整頓する」などこれまでの日本代表が得意としてきたような細やかな気配りを身に着けている様子がうかがわれた。例えばシンガポール代表のPeter Chuaは、Cocktail Against Clock Challengeのようなスピードを競う競技の中でも、バックバーを綺麗にしていた点が印象的であった。
プレゼンテーション力が更に上がっている。自らが創作するカクテルがいかに素晴らしいかを伝えるのに、まるでビジネスプレゼンのように、全く異なる角度から3つの理由とその事例を説明し、最後に念押しをしている。フランス代表のMido Yadoが丁寧に説明している姿が印象的であった。
そしてWorld Classらしいエンターテイメント性で言えば、イタリア代表のclaudioが目立っていた。華がある動きと共に「見た目が美しい」カクテルを多く創っていた。
ただ戦うだけではなく挑戦者たちがお互いを認め高めあい、バーテンダーとしての資質と技術を向上させる努力を惜しまない。World Classがさらに素晴らしい大会へと成長していることを実感する5日間であった。