ワールドクラス2013 / カクテルトレンドセミナー&オリエンテーション

ワールドクラスの世界観を間近で体感!熱気あふれるセミナーが全国8都市に拡大。

北海道から九州まで、今回は全国8都市で行われたカクテルトレンドセミナー&オリエンテーション。東京・名古屋・大阪では、ワールドクラス 2012 世界大会優勝者のティム・フィリップス氏(ブレティン・プレイス/シドニー・オーストラリア)と、日本大会優勝・世界大会部門優勝者の吉田 茂樹氏(セルリアンタワー東急ホテルタワーズバー「ベロビスト」/東京)を招聘し、世界大会で創作したオリジナルカクテルを披露していただきました。その他の会場でも日本大会の歴代の優勝者・入賞者が見事なデモンストレーションで会場を魅了。

ワールドクラス独特の世界観やスタイルなどが、ゲストの情熱・テクニックとともに伝わり、ワールドクラス 2013の華やかな幕開けとなりました。

相手を楽しませることを忘れないで。世界大会経験者からアドバイス。

ハリウッド映画の予告編のようなスタイリッシュな映像からスタートしたこのイベント。冒頭から世界大会の熱気にふれて、会場の空気が引き締まります。コンセプトやチャレンジ内容などワールドクラスの概要説明のあと、さっそく2人のチャンピオンにインタビュー。優勝して生活すべてが変わったと語るフィリップス氏は、「毎年驚きがある大会。日本やアジアから学ぶことが多い。自分だけが突出した武器を持っておくこと、お客様である審査員を楽しませることを忘れないで」とアドバイス。吉田氏も「苦手なことも練習を重ねたら得意分野になった。アートや音楽、医学など、お酒以外のことも知っておくと役に立ちます」と参加者にエールをおくりました。

フィリップス氏は、つづいてグローバルトレンドについてもレクチャー。ボトルでサーブするボトルカクテルや、樽で熟成させたカクテル、ビターズの活用法などを自身の経験をまじえて解説しました。

ハプニングも演出プランのひとつ。大胆なシグネチャーカクテル。

そして注目のカクテルデモンストレーションへ。まずはフィリップス氏が世界大会のレトロ・シック・チャレンジで披露した「アフタヌーン グローリー フィズ」から。これはモーニング グローリー フィズとラモス ジン フィズをミックスしたツイストカクテル。「ニューオリンズのホテルでは10分シェイクするため、10人のバーテンダーが順番にシェイカーを振ったといいます」とトリビアを取り混ぜながら、ボストンシェイカーを操ります。

もうひとつは自分の代表カクテルを披露するチャレンジ、シグネチャー・スペシャルズで人気をさらった「リーインカーネーション フリップ」。アイルランドの民謡をイメージした、詩の朗読のようなプレゼンテーションが始まったかと思うと、途中シェイクする前のシェイカーを落としてしまうハプニングが……!ところが、おもむろに取り出した卵を殻ごとシェイク。会場はあっけにとられていましたが、全てが演出。卵の中にカクテルの材料を事前に仕込んでいたのでした。「よみがえり」というテーマを見事に体現した、クリエイティビティあふれるデモとなりました。

「レトロシック:クラシックツイスト」第一次審査のテーマの奥深さを実感。

つづいて吉田氏は、レトロ・シック・チャレンジで提案した2作品を披露。このチャレンジは1950年代のホームバーをイメージして用意された限られた道具と材料だけを使うもの。吉田氏は16種類のクラシックカクテルから「アビエーション」をチョイスし、マラスキーノのほかにヴァイオレットリキュールを加えて禁酒法時代以前のレシピを再現しました。

つづいてクラシックカクテルのツイスト「シルク ストッキング フォー ブレックファスト」でコーヒー豆とメープルシロップを使った香り高い一品を。「世界大会がブラジルでしたので、ラテンのノリでシェイクしましょう。そう、マラカスのように」と茶目っ気たっぷりにシェイカーを振る姿に大きな拍手が起こりました。ワールドクラス 2013 日本大会の第一次審査はこの「レトロシック:クラシックツイスト」がテーマ。50年代に帝国ホテルで初めてパンケーキが振舞われたストーリーと絡めたアイデアなどは、参加者にとって大いに参考になったのではないでしょうか。

こんにゃくゼリーも出た体感セッション。さあ、自分のスタイルで世界へ。

東京・名古屋・大阪会場のみで行われた「ホームバーチャレンジ」。ホームバーをイメージして限られた材料とツールで創作する——これは参加者による「体感セッション」の課題でもありました。2名ずつ3組のチャレンジャーが20分以内にその場でオリジナルカクテルを創作し、フィリップス氏と吉田氏に審査してもらいます。こんにゃくゼリーやチューブのわさびなども用意され、まさに独創性、即興性、柔軟性が試されます。どの会場も積極的に手が挙がり、参加者を絞る一幕も。

各チームが熱心にアイデアを練る間、再びカクテルデモンストレーションで世界の 技を堪能。フィリップス氏はタンカレー ナンバーテンにハーブブレンドティを使ってスリングをツイスト。吉田氏はティーポットの中にスモークを充満させ、ザ シングルトン グレンオード 12年に燻香を加えるリチュアルな飲み方を提案しました。体感セッションはどの作品も高評価。フィリップス氏も日本のレベルの高さを再認識したようでした。

5都市で初開催。熱心な参加者とアンバサダーの交流。

今回初めての試みとして、札幌・仙台・徳島・広島・福岡の5都市でも開催。今年は一人でも多くの方にワールドクラスのことを知ってもらい、理解してもらうために「ワールドクラスアンバサダー」にフェイスブックにカクテル情報などを投稿してもらうとともに、セミナーにゲストとしてデモを行っていただきました。それぞれのアンバサダーには一次審査の課題である「レトロシック」を自分が応募するとしたら、どんな作品を創作するか考えてもらい、プレゼンテーション。自分なりの「レトロシック」の解釈を披露してくれました。

札幌・徳島担当の渡邉 匠氏(ザ・セイリングバー/奈良)は、ブラッド&サンドを一次審査の応募用紙に沿ってプレゼンテーション。映画「ブラッド&サンド」のストーリーと歴史も踏まえて行ったデモは、これから応募する参加者におおいに参考に。また、ご自分が参考としている文献も紹介。みんなで情報を共有していけるのもワールドクラスの素晴らしさであると説きました。

仙台・広島・福岡担当の鎌田 真理氏(ザ・ペニンシュラ東京 Peterバー/東京)は、“シック”の解釈「エレガントでスタイリッシュなスタイル」を「貴婦人」のイメージとし、シーブリーズをツイスト。バーでの準備時間には、参加者が取り囲んで質問攻めにする場面も見られました。また、吉田さんとのコンビではサンバのリズムで吉田さんのデモをサポート。初年度からワールドクラスに携わってきた二人の絶妙なコンビネーションで、会場を和ませていました。

徳島担当の宮之原 拓男氏(BAR ORCHARD GINZA/東京)は、マルガリータの歴史をチャートにして説明するとともに、最後に自分がツイストしたPremium Margarita by the Pitcherを披露。エスプーマを使用したり、通常スノースタイルにするソルトをレシチンパウダーと水を加えて、塩の泡をカクテルにのせるなど、普段見慣れない道具に目を見張る参加者も。ただし、大会だけの奇をてらったカクテルということではなく、普段お店で提供しているものを紹介。「ワールドクラスとは、自分の普段行っていることの集大成。発表の場」であることを強く訴えかけました。

広島担当の中垣 繁幸氏(BAROSSA cocktailier/岐阜)は、ワールドクラスに挑戦したくなる魅力を2種類のカクテルとともに説明。「メソッド(方法)やテクニック(技法)だけでなく、オリジナリティも想像でき、即興性を試される、それがワールドクラス」と語る中垣氏。マルティネスのツイストは、副材料に入っている成分を一度分解し、フレッシュなもので再構築したカクテル。その考え方に会場は圧倒されていました。

初めて触れるワールドクラスの世界に興味を示し、「身近に感じた」「参加してみようと思った」という声も数多く聞かれ、セミナー終了後もゲストであるアンバサダーと参加者の間に交流が生まれていました。

今年で5回目を迎えるワールドクラスは、”Raising the Bar”のコンセプトとともに、その輪がさらに広がってきています。