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World Class Trends

Vol.

3

料理を引き立てる飲み物

ジミー・バラット(Jimmy Barrat)

高級ジャパニーズキュイジーヌブランドZUMAのドリンクプログラムを生み出したクリエイター。70年代の華麗さとSF映画*の世界観を組み合わせた最新の取り組みであるErgoを、2022年7月にドバイでオープン。
*SF=サイエンスフィクション

料理とカクテルを効果的に組み合わせることができれば、ビジネスにも恩恵がもたらされます。料理を完全なものにするドリンクメニューをコーディネートすることができれば、利益が増し、客単価が上がり、お客様は満足し続け、気分が高揚してより長い時間飲み物を購入してくれるようになります。

料理に合わせたカクテルがホスピタリティのトレンドとしてますます広まっていますが、これにはもっともな理由があります。食事を提供する店では、それに合ったドリンクでフードメニューの魅力をさらに高めようとし、飲み物を提供する店では理想的なフードペアリングを追加して同じことを目指します。アペリティフスタイルの美味しいカクテルが、小さなケータリングトラックや地元のパブから五つ星レストランに至るまで見られるようになりました。

お店にカスタムメイドのドリンクリストを用意するのは大変な作業に思えるかもしれませんが、センス良くほんのわずかを追加するだけで利益を増やし、スタッフの時間の節約をも実現することができます。私にとっては、テーブルについて友人と飲食する機会は旅のようなものです。考え抜かれたアペリティフや、圧倒的に魅了されるフィナーレとしてのカクテルを追加してこの旅を広げることができれば、お客様の旅に付加価値が付き、あなたのお店は思い出に残る場所になります。

Vol.

3

料理を引き立てる飲み物

ジミー・バラット(Jimmy Barrat)

高級ジャパニーズキュイジーヌブランドZUMAのドリンクプログラムを生み出したクリエイター。70年代の華麗さとSF映画*の世界観を組み合わせた最新の取り組みであるErgoを、2022年7月にドバイでオープン。
*SF=サイエンスフィクション

料理とカクテルを効果的に組み合わせることができれば、ビジネスにも恩恵がもたらされます。料理を完全なものにするドリンクメニューをコーディネートすることができれば、利益が増し、客単価が上がり、お客様は満足し続け、気分が高揚してより長い時間飲み物を購入してくれるようになります。

料理に合わせたカクテルがホスピタリティのトレンドとしてますます広まっていますが、これにはもっともな理由があります。食事を提供する店では、それに合ったドリンクでフードメニューの魅力をさらに高めようとし、飲み物を提供する店では理想的なフードペアリングを追加して同じことを目指します。アペリティフスタイルの美味しいカクテルが、小さなケータリングトラックや地元のパブから五つ星レストランに至るまで見られるようになりました。

お店にカスタムメイドのドリンクリストを用意するのは大変な作業に思えるかもしれませんが、センス良くほんのわずかを追加するだけで利益を増やし、スタッフの時間の節約をも実現することができます。私にとっては、テーブルについて友人と飲食する機会は旅のようなものです。考え抜かれたアペリティフや、圧倒的に魅了されるフィナーレとしてのカクテルを追加してこの旅を広げることができれば、お客様の旅に付加価値が付き、あなたのお店は思い出に残る場所になります。

誰もがお腹が減り、喉が渇く

飲食は日常生活の基本要素なので、料理と飲み物のペアリングはなんら目新しいものではありません。私の出身地フランスでは、家庭生活も社交の場もすべて料理と飲み物が中心になります。どちらの体験ももう一方を台無しにしないようにするのが大切です。家族との時間を楽しむときは、早い時間からさっぱりした低アルコールの飲み物を飲み始め、深夜までずっと様々な飲み物を飲みながら食事することがあります。テーブルについてコースの食事をいただくもっとフォーマルな機会には、一部のレストラン文化で見られるように、お客様が到着した時点でテーブルにパンを用意することはけっしてありません。飲み物や料理の注文さえしないうちにパンを食べてしまうと、お客様の食欲がそがれますし、最後まで食事を適切に楽しむにはお腹いっぱいになりすぎてしまって、食事をするというこの旅の期間が短縮されてしまいます。お客様にお出しするものはすべて食欲を高め、体験をより良くするものでなければならず、その逆ではいけません。

アペリティフダイニング

トレンドになっているアペリティフダイニングでは、さっぱりした飲み物をカジュアルな食事と組み合わせます。型にはまったコース形式のディナーとは異なり、カジュアルダイニングでは、料理が絶えずテーブル中を行き来するような、もっと混沌としたシェアスタイルをとることが多くなります。タパスや居酒屋のスタイルを思い浮かべてみてください。どのお皿も内容が異なっているでしょう。一口ごとに味が変わるので、食事体験がはるかに多様なものになり、またこれに合う理想的な飲み物はカクテルになります。カクテルは多岐にわたるだけでなく、風味、度数、酸味、甘味など、そのリストはまだまだ続きますが、それらを様々なレベルに調節することができます。料理にぴったりのレベルに、飲み物をカスタマイズしてください。そうすれば、お客様は食事中に好きなだけ、選んだ料理に合うように飲み物を変えることができます。

多くの文化では、伝統的に食事は飲み物で開始されます。イタリアのビター系リキュールでも、フィノシェリーでも、ジントニックでも、アペリティフにはいくつかの重要な特徴があります。アルコール度数が低く、甘くなく、舌に食事の準備をさせます。甘い飲み物は、デザート風で満足度が高いので、お客様はお腹いっぱいになってしまいます。ある程度の苦味や酸味は、すっきりした口当たりを生み、お客様の味蕾を目覚めさせて食事の準備を整えさせます。こうした特徴から、これらの飲み物は食事に取り入れるのも理想的です。

料理と組み合わせるカクテルの開発に取り組む上で、気を付けなければならないことが何点かあります。幅広い料理に合うだろうか。お腹いっぱいになることなく料理を引き立てるだろうか。特定の1つの料理に完璧にマッチする飲み物を創り出すのは意味がありません。お客様は体験をカスタマイズする余地がなくなりますし、スタッフは常に、ある料理とある飲み物をセットでおすすめしなければならなくなるからです。これは厳密に取り決められているコース料理でなければ、非現実的でしょう。ファストペースのカジュアルダイニングにおいて、カクテルはお客様のそばに置かれている多岐にわたる料理と完璧にマッチする、お客様を喜ばせるものであるべきでしょう。

素晴らしい飲み物がお客様を感動させる

私のアプローチは、まずアイデアを用意し、それから外に向かって動き出すというものです。いくつかの組み合わせは以前に試したものだからうまくいかない、というような先入観に左右されるのは好きではありません。合うことがわかっている味の組み合わせだけを用いるのなら、新たなものや面白いものは決して見つけ出すことはできないでしょう。

手元にある食材を眺め、それらを分類してみましょう。一つ一つの飲み物を特定の料理に合わせるのは意味がありませんが、料理のスタイルを完璧に仕上げる飲み物を生み出すことができれば、使い勝手のよいメニューを作るのも、スタッフがおすすめするのも簡単になります。それぞれの飲み物が、様々な料理と組み合わせられるようにすべきです。たとえば、ある飲み物は肉料理のメニューに完璧にマッチし、別の飲み物は魚料理に完璧にマッチするようにです。季節の食材も、料理や飲み物に風味を追加し、特別な機会であるという感覚を作り出す素晴らしい可能性を持っています。

スタッフが用意しやすくなるようにし、また季節の特別メニューなど、メニューの変更を管理しやすいようにしてください。オリジナルの材料は、古典的なドリンクをあなたのお店だけの特別なものに変える素晴らしいチャンスです。あなたのお店での食事は思い出に残るものとなり、しかも用意はすばやく簡単にできます。飲み物を長々と待たされるのは最悪です。

味の相性の作り方

格好の組み合わせとなる風味についての科学は、望めば望むだけ複雑になり得る性質のものです。何百年もの間、食事にはワインが出されてきました。しかし、カスタマイズのしやすさや、風味や変化の幅が無限であることから、多くの食事のシチュエーションでカクテルの方が適しています。また、重要な点ですが、得られる利益は一般的にカクテルの方がワインより大きくなります。

苦味は食欲を高めるので、食前酒に理想的な要素です。ただし、アメリカーノのようなイタリアのビター系アペリティフに見られる強い風味は誰もが好むわけではないので、苦い材料は慎重に使用するようにしてください。苦味が抑えられ、ボタニカルな風味のある、代表格であるジントニックを絶対に忘れないようにしてください。これをベースにして、エンハンサーを追加していくことができます。お腹がいっぱいになり、料理から気がそれてしまうので、食事中の飲み物は甘味や塩味を最小限に抑えるようにしてください。プレミアムスピリッツには、表の味わい以外にも複雑なアクセントがたくさんあります。それらを使って色々な相乗効果を狙うのも面白いでしょう。たとえば、テキーラには酵母のすばらしい風味がありますが、これはシャンパンや日本酒など他の酵母系の飲み物と組み合わせることで際立たせることができます。さらに、甘い材料をいっさい使わないようにする必要はなく、通常よりも量を少なくして、影響を最小限に抑えるだけでもよいのです。たとえば、梅酒を少量加えることで、甘くすることなく古典的なハイボールの特徴を変えることができます。

料理が出ている間は爽やかなドリンクで食事を進めてきましたが、食後にはもっと迫力のあるカクテルが必要になります。基本的に食後酒はアルコール度数が高く、風味の強いものですが、これはデザートのように満足できる締めくくりであるべきだからです。

最後にひと言

フードペアリングをメニューに追加する事は、あなた自身とあなたのお店の後押しにすぎません。目指すべきは、より多くのドリンクを販売し、お客様があなたのお店でより長時間楽しむようにすることです。考え抜かれた独自の組み合わせを用いれば、あなたのお店がユニークな存在となります。事前にまとめて処理する手法や簡単に処理できる手法を採用して、スタッフのストレスも取り除いてください。飲食は生活の基本要素ですが、私たちバーテンダーやシェフの仕事は食事や飲み物を提供するだけではありません。私たちは人々を楽しませ、喜びを与えるために存在しているのです。

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