CHAMPIONS’ STORIES
これまでの優勝者たちは、ワールドクラスを通して何を経験し、彼らの人生はどのように変わったのか。
世界で活躍する一流バーテンダーが、ワールドクラスの挑戦者たちに向けたメッセージとは。
Erik Lorincz
2010 Bartender of the Year
勝つことではなく、アイデアを共有し、コミュニティを構築する
ワールドクラスに出場しようと思ったのは、自分のキャリアを試される試験だと思ったからです。自分の立ち位置と改善すべき点を確認し、自分の弱点を知りたかったのです。その時の私のスキルは今と全く違うものでしたが、私は多くのことを学びました。例えば整理整頓についてです。それまでは片付けを重視していなかったのですが、ワールドクラスを通して、よりしっかりとできるようになりました。このスキルは、バーテンダーとして、人として、そして競技者として役立ちます。道具や材料、レシピを忘れないようにしなければなりません。競技をしているときは、バーの後ろに入って、バーの内部を全面的に再編成していました。ある国での大会で審査員として参加しましたが、1人のバーテンダーが、バーがきちんと整理されていないと不満を言っていたのを覚えています。でも、それはあなた次第です。時間と実行力と品質が全てなのです。
大会に参加した後、私は目標と課題を設定しました。ワールドクラスは勝つことではなく、アイデアを共有し、コミュニティを構築することが目的です。北海道から来た人に出会うかもしれませんが、終わった時には北海道からの新しい友達ができているかもしれません。競争を怖がらず、勝てなかったら失敗したと思わないでください。参加することは経験であり、自分自身を試すことでもあります。自分の目標を設定するためのアイデアを与えてくれるものです。自分が何に取り組みたいのか、どこに行きたいのかに気づくでしょう。参加すると自分に足りないものが見えてきますが、勝つことに集中してしまうと自分を見失ってしまいます。
インスピレーションは目を開けているだけで、思いがけない人から得られるかもしれません。ある有名な人だけに目を奪われてしまうと、すぐ隣で素晴らしいドリンクを作っているその人には気が付かなくなってしまいます。日本に訪問した時に多くのバーテンダーに出会いましたが、その仕事と才能には驚かされました。なぜワールドクラスに出てこないのだろうかと思ったほどです。
ワールドクラスは一杯のドリンクについてだけではありません。その準備、思考プロセス、創造性、そしてテーブルに何をもたらすかが重要です。それが技術であれ、アイデアであれ、ストーリーであれ。それはお金のかからないものであり、それは個性です。さらに、ワールドクラスはたった一回の挑戦ではなく、多くの挑戦があります。あなたがスピードのあるバーテンダーではなくても、良いストーリーテラーであれば、十分にやれます。全てのラウンドで完璧な結果を出す必要もありません。
ワールドクラスに適したバーテンダーは一つのタイプだけではありません。世界の優勝者を見れば、いろんな国籍の人がいて、いろんな才能を持った人がいます。それは個人としての自分の力です。彼らは皆、最終ラウンドまで神経を集中させクオリティーを保つ能力を持っています。規律と信念を持ち、集中力を維持する能力を持っている人です。プレッシャーに屈せず、これまでやってきたことの繰り返しだと思い、それをもう一回実行するだけなのです。私が出場した時、審査員を見て、彼らは私のゲストだと思いました。逆に自分のバーでは、お客さんを見ると、自分にとって最大のヒーローだと思っています。
ワールドクラスで成功するには、練習あるのみです。すべてのチャレンジと質問のために自分自身を準備します。すべての材料について知っておく必要があります。
スピードラウンド中にグラスを割ってしまったとしましょう。どうやって持ち直すのか?どうやって追いつくのか?大丈夫です。グラスを割っても、それで終わりではありません。バーでグラスを割っても、気にしないで続ければ良いのです。
何かが足りないからといって、ドリンクに妥協することはありえません。そしてとにかく準備が大事です。本番はただ練習と同じことをすれば良いのです。
今までのやり方を繰り返すのではなく、心を開いて新しい方法を学びましょう。私は新しいアイデアにもオープンで、より良い方法があれば知りたいといつも思っています。もっと良いアイデアがなければ、私から学ぶのも良いでしょう。エゴを捨て去りましょう。自分がしたいことに誰かが反対する場合は、比較して見せて納得させましょう。物事を自分の力で発展させるのです。
シグネチャーカクテルを作るときは、あなたのインスピレーションとなる素材に注目してください。私はカクテルを作るとき、それらの素材がお互いにどのように働き合うのかを見ます。上手く作用すれば、それは一杯のドリンクとなります。素材からインスピレーションを得て、素材同士のハーモニーを作りましょう。4つの材料リストを見て、そのどれもが気に入ったときには、すでに良いものを作る準備ができています。バランスとテイストを作りましょう。
Erik Lorincz (エリック・ロリンツ)
Kwānt
ワールドクラス バーテンダー・オブ・ザ・イヤー 2010
Bannie Kang
2019 Bartender of the Year
まずは参加して、人に会って、学ぶという経験を積むこと
私が今、バー業界に身を置くようになった理由は、ひとえにワールドクラスの存在があります。ワールドクラスを通して、自分らしさや日々の仕事の大切さを学びました。毎日していること、毎日会っている人たちは、あなたの人柄を見て、あなたのお酒を飲みたいと思っています。毎日の仕事のやり方をきちんと知らなければ、ワールドクラスでは通用しません。大会のためだけに練習していたら、それは本当の自分ではないのです。
ワールドクラスは、最高のカクテルではなく、最高のバーテンダーを求めています。もちろん、カクテルもその一部ですが、彼らが求めているのは個性とホスピタリティ、つまりフルパッケージなのです。それは、あなたが大会に何をもたらすかということです。多くの課題があるので、あらゆる角度から自分をアピールする機会がたくさんあります。他の大会では毎年優勝者は似たようなものですが、ワールドクラスでは毎年全く違う人が優勝することもあります。
2013年から、大会で勝ちたいと思っていましたが、最初はとても人見知りで、どうやってお客様と話したらいいのか分かりませんでした。最初に入ったバーでは、70階からの眺めが良くて、誰も話しかけてこないので、ただロボットのようにお酒を作っていました。でも、違うバーに移ってからは勉強しなければなりませんでした。当時のマスターは私に人と話すように勧めてくれて、ホストであること、人と話すこと、交流することがバーテンダーの仕事であることを教えてくれました。
ワールドクラスの前に他の大会にも参加していたので、世界の舞台での経験はありました。ただ、その時は友達ができなかったことを後悔しています。当時はあまりにもストレスを感じ、集中していたからです。今回のワールドクラスでは友達を作ることを優先に考え、バックステージではリラックスするようにみんなと話しました。審査員とも、私は自分らしくお客様として接しました。だからあまり緊張しませんでしたね。それよりも、審査員が私のドリンクを試飲してくれて、私のストーリーを共有できたことを光栄に思いました。スピードラウンドでは、なぜその飲み物を選んだのかを説明する必要があったので、私は審査員に「ここはクラブで、他に選択肢がないので、このウー・ウーを飲まなければならないと想像してみてください!」と言ってドリンクを渡しました。すると審査員は本当に喜んでくれたんです。
バーテンダーのタイプは一つではありません。私は勝つことを最優先にしたことはありません。参加して、人に会って、学ぶという経験を積むことを優先しました。もちろん緊張はしましたが負けるのは怖くなかったし、経験を最優先にしたからこそ、より良い結果が得られたのです。
ワールドクラスに出てから自分のバーをオープンしましたが、それは大会に出る前から計画していたことで、仕事に対しては何も変わっていません。今でもお客様のためにカクテルを作ったり、自分のバーにいて、とても満足しています。もちろん私の視点も変わりました。責任を感じるようになりましたし、以前の私はもっと若さを前面に出して、競争して有名になりたいと思っていましたが、今はもっと地域に根ざして、どうやって地域を強くしていくかということに関心があります。アジア人が経営するバーのスタイルをどうやってアピールするか。成長して、環境や業界のことをもっと考えるようになりました。自分のバーを開くために新しい国に引っ越すことになりましたが、優勝して得た素晴らしい経験以外は、あまり変わっていません。チャンピオンになる前と同じように、このバーにいて幸せなのです。今でも同じことを楽しんでいます。
バーテンダーに何かを教えるとき、私は彼らに「選ぶな」と言っています。どんな機会でも受け入れて、謙虚になることです。難しいのは、本を読んだり、市場調査をしてもらうことです。大きなことをやる前に小さな仕事を積み重ねるのです。そしてものを無駄にしないこと。すべてを一歩一歩実行する。一部のバーテンダーは、もっともっと複雑になり続ける必要があるのではないかと恐れていますが、そうではありません。物事を一歩一歩進めて、一日の終わりには、あなたがやっているすべてを理解する必要があります。なぜこのテクニックがこの味を引き出すのかを理解する必要があります。
私の今のお気に入りはマティーニです。ワールドクラスの前は、マティーニの正しい飲み方を知りませんでした。しかし、タンカレー ナンバーテンの課題で、たくさんのマティーニを飲んだので、ケミストリーが飲み物にどのような影響を与え、変化をもたらすかを理解するようになりました。今ではマティーニが大好きです。今までで一番好きな飲み物はハイボールですけどね!それは変わりませんよ。
Bannie Kang (バニー・カン)
Mu: Bar
ワールドクラス バーテンダー・オブ・ザ・イヤー 2019
勝つことではなく、アイデアを共有し、コミュニティを構築する
ワールドクラスに出場しようと思ったのは、自分のキャリアを試される試験だと思ったからです。自分の立ち位置と改善すべき点を確認し、自分の弱点を知りたかったのです。その時の私のスキルは今と全く違うものでしたが、私は多くのことを学びました。例えば整理整頓についてです。それまでは片付けを重視していなかったのですが、ワールドクラスを通して、よりしっかりとできるようになりました。このスキルは、バーテンダーとして、人として、そして競技者として役立ちます。道具や材料、レシピを忘れないようにしなければなりません。競技をしているときは、バーの後ろに入って、バーの内部を全面的に再編成していました。ある国での大会で審査員として参加しましたが、1人のバーテンダーが、バーがきちんと整理されていないと不満を言っていたのを覚えています。でも、それはあなた次第です。時間と実行力と品質が全てなのです。
大会に参加した後、私は目標と課題を設定しました。ワールドクラスは勝つことではなく、アイデアを共有し、コミュニティを構築することが目的です。北海道から来た人に出会うかもしれませんが、終わった時には北海道からの新しい友達ができているかもしれません。競争を怖がらず、勝てなかったら失敗したと思わないでください。参加することは経験であり、自分自身を試すことでもあります。自分の目標を設定するためのアイデアを与えてくれるものです。自分が何に取り組みたいのか、どこに行きたいのかに気づくでしょう。参加すると自分に足りないものが見えてきますが、勝つことに集中してしまうと自分を見失ってしまいます。
インスピレーションは目を開けているだけで、思いがけない人から得られるかもしれません。ある有名な人だけに目を奪われてしまうと、すぐ隣で素晴らしいドリンクを作っているその人には気が付かなくなってしまいます。日本に訪問した時に多くのバーテンダーに出会いましたが、その仕事と才能には驚かされました。なぜワールドクラスに出てこないのだろうかと思ったほどです。
ワールドクラスは一杯のドリンクについてだけではありません。その準備、思考プロセス、創造性、そしてテーブルに何をもたらすかが重要です。それが技術であれ、アイデアであれ、ストーリーであれ。それはお金のかからないものであり、それは個性です。さらに、ワールドクラスはたった一回の挑戦ではなく、多くの挑戦があります。あなたがスピードのあるバーテンダーではなくても、良いストーリーテラーであれば、十分にやれます。全てのラウンドで完璧な結果を出す必要もありません。
ワールドクラスに適したバーテンダーは一つのタイプだけではありません。世界の優勝者を見れば、いろんな国籍の人がいて、いろんな才能を持った人がいます。それは個人としての自分の力です。彼らは皆、最終ラウンドまで神経を集中させクオリティーを保つ能力を持っています。規律と信念を持ち、集中力を維持する能力を持っている人です。プレッシャーに屈せず、これまでやってきたことの繰り返しだと思い、それをもう一回実行するだけなのです。私が出場した時、審査員を見て、彼らは私のゲストだと思いました。逆に自分のバーでは、お客さんを見ると、自分にとって最大のヒーローだと思っています。
ワールドクラスで成功するには、練習あるのみです。すべてのチャレンジと質問のために自分自身を準備します。すべての材料について知っておく必要があります。
スピードラウンド中にグラスを割ってしまったとしましょう。どうやって持ち直すのか?どうやって追いつくのか?大丈夫です。グラスを割っても、それで終わりではありません。バーでグラスを割っても、気にしないで続ければ良いのです。
何かが足りないからといって、ドリンクに妥協することはありえません。そしてとにかく準備が大事です。本番はただ練習と同じことをすれば良いのです。
今までのやり方を繰り返すのではなく、心を開いて新しい方法を学びましょう。私は新しいアイデアにもオープンで、より良い方法があれば知りたいといつも思っています。もっと良いアイデアがなければ、私から学ぶのも良いでしょう。エゴを捨て去りましょう。自分がしたいことに誰かが反対する場合は、比較して見せて納得させましょう。物事を自分の力で発展させるのです。
シグネチャーカクテルを作るときは、あなたのインスピレーションとなる素材に注目してください。私はカクテルを作るとき、それらの素材がお互いにどのように働き合うのかを見ます。上手く作用すれば、それは一杯のドリンクとなります。素材からインスピレーションを得て、素材同士のハーモニーを作りましょう。4つの材料リストを見て、そのどれもが気に入ったときには、すでに良いものを作る準備ができています。バランスとテイストを作りましょう。
Erik Lorincz (エリック・ロリンツ)
Kwānt
ワールドクラス バーテンダー・オブ・ザ・イヤー 2010
まずは参加して、人に会って、学ぶという経験を積むこと
私が今、バー業界に身を置くようになった理由は、ひとえにワールドクラスの存在があります。ワールドクラスを通して、自分らしさや日々の仕事の大切さを学びました。毎日していること、毎日会っている人たちは、あなたの人柄を見て、あなたのお酒を飲みたいと思っています。毎日の仕事のやり方をきちんと知らなければ、ワールドクラスでは通用しません。大会のためだけに練習していたら、それは本当の自分ではないのです。
ワールドクラスは、最高のカクテルではなく、最高のバーテンダーを求めています。もちろん、カクテルもその一部ですが、彼らが求めているのは個性とホスピタリティ、つまりフルパッケージなのです。それは、あなたが大会に何をもたらすかということです。多くの課題があるので、あらゆる角度から自分をアピールする機会がたくさんあります。他の大会では毎年優勝者は似たようなものですが、ワールドクラスでは毎年全く違う人が優勝することもあります。
2013年から、大会で勝ちたいと思っていましたが、最初はとても人見知りで、どうやってお客様と話したらいいのか分かりませんでした。最初に入ったバーでは、70階からの眺めが良くて、誰も話しかけてこないので、ただロボットのようにお酒を作っていました。でも、違うバーに移ってからは勉強しなければなりませんでした。当時のマスターは私に人と話すように勧めてくれて、ホストであること、人と話すこと、交流することがバーテンダーの仕事であることを教えてくれました。
ワールドクラスの前に他の大会にも参加していたので、世界の舞台での経験はありました。ただ、その時は友達ができなかったことを後悔しています。当時はあまりにもストレスを感じ、集中していたからです。今回のワールドクラスでは友達を作ることを優先に考え、バックステージではリラックスするようにみんなと話しました。審査員とも、私は自分らしくお客様として接しました。だからあまり緊張しませんでしたね。それよりも、審査員が私のドリンクを試飲してくれて、私のストーリーを共有できたことを光栄に思いました。スピードラウンドでは、なぜその飲み物を選んだのかを説明する必要があったので、私は審査員に「ここはクラブで、他に選択肢がないので、このウー・ウーを飲まなければならないと想像してみてください!」と言ってドリンクを渡しました。すると審査員は本当に喜んでくれたんです。
バーテンダーのタイプは一つではありません。私は勝つことを最優先にしたことはありません。参加して、人に会って、学ぶという経験を積むことを優先しました。もちろん緊張はしましたが負けるのは怖くなかったし、経験を最優先にしたからこそ、より良い結果が得られたのです。
ワールドクラスに出てから自分のバーをオープンしましたが、それは大会に出る前から計画していたことで、仕事に対しては何も変わっていません。今でもお客様のためにカクテルを作ったり、自分のバーにいて、とても満足しています。もちろん私の視点も変わりました。責任を感じるようになりましたし、以前の私はもっと若さを前面に出して、競争して有名になりたいと思っていましたが、今はもっと地域に根ざして、どうやって地域を強くしていくかということに関心があります。アジア人が経営するバーのスタイルをどうやってアピールするか。成長して、環境や業界のことをもっと考えるようになりました。自分のバーを開くために新しい国に引っ越すことになりましたが、優勝して得た素晴らしい経験以外は、あまり変わっていません。チャンピオンになる前と同じように、このバーにいて幸せなのです。今でも同じことを楽しんでいます。
バーテンダーに何かを教えるとき、私は彼らに「選ぶな」と言っています。どんな機会でも受け入れて、謙虚になることです。難しいのは、本を読んだり、市場調査をしてもらうことです。大きなことをやる前に小さな仕事を積み重ねるのです。そしてものを無駄にしないこと。すべてを一歩一歩実行する。一部のバーテンダーは、もっともっと複雑になり続ける必要があるのではないかと恐れていますが、そうではありません。物事を一歩一歩進めて、一日の終わりには、あなたがやっているすべてを理解する必要があります。なぜこのテクニックがこの味を引き出すのかを理解する必要があります。
私の今のお気に入りはマティーニです。ワールドクラスの前は、マティーニの正しい飲み方を知りませんでした。しかし、タンカレー ナンバーテンの課題で、たくさんのマティーニを飲んだので、ケミストリーが飲み物にどのような影響を与え、変化をもたらすかを理解するようになりました。今ではマティーニが大好きです。今までで一番好きな飲み物はハイボールですけどね!それは変わりませんよ。
Bannie Kang (バニー・カン)
Mu: Bar
ワールドクラス バーテンダー・オブ・ザ・イヤー 2019
ワールドクラスについてお聞かせください。
純粋に素晴らしい大会だと思います。運営の皆様、選手・業界の皆様、さらにはお客様までもが大会を、バーを盛り上げようとしているのがとても伝わります。チャレンジの数も多く、内容も難しいものが多いですが、その分お店で活かせることが多く、とても成長させてもらえる大会だと感じています。他の大会と比べてワールドクラスの違うところは、バーテンダーとして全てを見られることと、チャレンジのテーマのユニークさです。たくさんのカクテルやプレゼンテーションを並行してブラッシュアップしていく作業や、チャレンジごとで大会が何を求めているのかを客観的に考えていくことはワールドクラスならではだと思います。
ワールドクラスで何を学びましたか?
全てのことに細部まで意識をいきわたらせることが、良いパフォーマンスに繋がるということを学びました。なかなか自分では気づかないことが多いですので、冷静に客観的に見てくれる人がいるととても良いと思います。そのために1番大切なことは、そのアドバイスを取り入れられる余裕を、自分自身が持っておくことだと思います。そして、私がワールドクラスを経験して成長したと思うところは、カクテルを考えるアイデアの幅が広がったことです。味わいに関してもそうですが、スタイルや作成方法、プレゼンテーションにいたるまで、視野が広がってきている気がします。それと、バーテンダーの方々や、作られるカクテルの良いところを今まで以上に見つけられるようになったと思います。
ワールドクラス大会に参加する上でのヒントはありますか?
一次・二次・ファイナルと、内容がどんどん変化しますので、それぞれのルールや求められていることをしっかり分析することだと思います。あとは平均値を上げていく必要がありますので、ウイークポイントを作らないことも大切だと思います。私がワールドクラスに参加してからやり始めたことは、ダブルシェイクとダブルステアです。もともとお店では一杯ずつ仕上げることが多いので、ダブルシェイクもダブルステアも大会の決勝が決まってから初めて挑戦しました。大会は終わりましたが、できた方が良いと思いますので、今でも練習しています。
ワールドクラスへの想いをお聞かせください。
ワールドクラスで印象的なのが、ファイナルまでの全てのチャレンジで出会った方々が、バリスタの私にも隔てなく優しく接してくださったことです。もともとワールドクラスに挑戦しようと思ったきっかけが、セミナーで歴代チャンピオンが、色んな業界の人がワールドクラスにチャレンジして欲しいとおっしゃられていたのがきっかけでした。ですので、実際バリスタの私も受け入れてくださる空気感はとても嬉しかったです。ファイナルでは人生初の野外フェスのようなシチュエーションで皆様と共にカクテルが作れたこと、そして尊敬するバーテンダーの方々にカクテルをお飲みいただき、評価していただけたことも一生の思い出です。ワールドクラス世界大会はまず純粋に、想像以上に圧倒的な規模感でした。そして選手・ジャッジ・運営の皆様が大会を楽しみ、盛り上げようとしている様子がとても印象的で素敵でした。大会を通して世界中のバーテンダーや業界関係者と繋がれたことは素晴らしい思い出です。
野里 史昭(ノザト フミアキ)
ISTA COFFEE ELEMENTS
ワールドクラス2023日本代表
ワールドクラスについてお聞かせください。
私は自分自身を表現できる場だと思っています。それは少し恥ずかしいことかもしれませんが、自分のストーリーやカクテルで誰かの勇気や元気づけることになります。逆に自分自身も一緒にチャレンジされた他のバーテンダーの方からたくさんの刺激を受けます。体力や精神力を使いますが全てが終わったとき、私は疲れているはずなのに脱皮できたようなパワーアップした気持ちになっていました!
また、ワールドクラスでは世界中のバーテンダーの友だちができたり生産者さんに出会って、新しいアイデアや感性が生まれるきっかけになります。勝つことも大事かもしれませんが、それ以上にワールドクラスに出ることで新しいコミュニティーが広がりますよ!
他の大会と比べてワールドクラスの違うところは?
ワールドクラスはカクテルや技術はもちろんですが、バーテンダーの個性やホスピタリティをよく見られます。
人柄やお仕事への姿勢など普段から当たり前にできていないと通用しません。大会用の自分ではなく、ありのままの自分を表現できるように普段の生活から意識することが大切です。怖がらずに自分の個性を大事にしてください!
ご自身はどんなバーテンダーだと思いますか?
元気で明るいハツラツ!太陽みたいと周りの方からはよく言っていただいて、嬉しく思っています。初めて行くバーの扉を開けるのは緊張されると思いますが、麦家に来られたお客様には来たときより帰るときに元気になってもらいたいと思っていますし、そういう雰囲気作りをしています。
ワールドクラスに参加してからやり始めたことは?
私は英会話です!競技自体は通訳の方がいらっしゃるので心配ないですが、プライベートの時間で英語が話せたらもっと仲良くなれたのにと、話せないことがとても悔しかったです。グローバルでは選手同士だけでなく、歴代チャンピオンや世界のバー業界の方と話せるチャンスがたくさんあります。そのチャンスを無駄にしないように英会話を勉強されることはオススメです!ペラペラ話せるようになるというより、怖がらずに笑顔でコミュニケーションがとれるように日々勉強がんばります!
緒方 唯(オガタ ユイ)
Wine & Bar 麦家
ワールドクラス2022日本代表
ワールドクラスについてお聞かせください。
純粋に素晴らしい大会だと思います。運営の皆様、選手・業界の皆様、さらにはお客様までもが大会を、バーを盛り上げようとしているのがとても伝わります。チャレンジの数も多く、内容も難しいものが多いですが、その分お店で活かせることが多く、とても成長させてもらえる大会だと感じています。他の大会と比べてワールドクラスの違うところは、バーテンダーとして全てを見られることと、チャレンジのテーマのユニークさです。たくさんのカクテルやプレゼンテーションを並行してブラッシュアップしていく作業や、チャレンジごとで大会が何を求めているのかを客観的に考えていくことはワールドクラスならではだと思います。
ワールドクラスで何を学びましたか?
全てのことに細部まで意識をいきわたらせることが、良いパフォーマンスに繋がるということを学びました。なかなか自分では気づかないことが多いですので、冷静に客観的に見てくれる人がいるととても良いと思います。そのために1番大切なことは、そのアドバイスを取り入れられる余裕を、自分自身が持っておくことだと思います。そして、私がワールドクラスを経験して成長したと思うところは、カクテルを考えるアイデアの幅が広がったことです。味わいに関してもそうですが、スタイルや作成方法、プレゼンテーションにいたるまで、視野が広がってきている気がします。それと、バーテンダーの方々や、作られるカクテルの良いところを今まで以上に見つけられるようになったと思います。
ワールドクラス大会に参加する上でのヒントはありますか?
一次・二次・ファイナルと、内容がどんどん変化しますので、それぞれのルールや求められていることをしっかり分析することだと思います。あとは平均値を上げていく必要がありますので、ウイークポイントを作らないことも大切だと思います。私がワールドクラスに参加してからやり始めたことは、ダブルシェイクとダブルステアです。もともとお店では一杯ずつ仕上げることが多いので、ダブルシェイクもダブルステアも大会の決勝が決まってから初めて挑戦しました。大会は終わりましたが、できた方が良いと思いますので、今でも練習しています。
ワールドクラスへの想いをお聞かせください。
ワールドクラスで印象的なのが、ファイナルまでの全てのチャレンジで出会った方々が、バリスタの私にも隔てなく優しく接してくださったことです。もともとワールドクラスに挑戦しようと思ったきっかけが、セミナーで歴代チャンピオンが、色んな業界の人がワールドクラスにチャレンジして欲しいとおっしゃられていたのがきっかけでした。ですので、実際バリスタの私も受け入れてくださる空気感はとても嬉しかったです。ファイナルでは人生初の野外フェスのようなシチュエーションで皆様と共にカクテルが作れたこと、そして尊敬するバーテンダーの方々にカクテルをお飲みいただき、評価していただけたことも一生の思い出です。ワールドクラス世界大会はまず純粋に、想像以上に圧倒的な規模感でした。そして選手・ジャッジ・運営の皆様が大会を楽しみ、盛り上げようとしている様子がとても印象的で素敵でした。大会を通して世界中のバーテンダーや業界関係者と繋がれたことは素晴らしい思い出です。
野里 史昭(ノザト フミアキ)
ISTA COFFEE ELEMENTS
ワールドクラス2023日本代表
ワールドクラスについてお聞かせください。
私は自分自身を表現できる場だと思っています。それは少し恥ずかしいことかもしれませんが、自分のストーリーやカクテルで誰かの勇気や元気づけることになります。逆に自分自身も一緒にチャレンジされた他のバーテンダーの方からたくさんの刺激を受けます。体力や精神力を使いますが全てが終わったとき、私は疲れているはずなのに脱皮できたようなパワーアップした気持ちになっていました!
また、ワールドクラスでは世界中のバーテンダーの友だちができたり生産者さんに出会って、新しいアイデアや感性が生まれるきっかけになります。勝つことも大事かもしれませんが、それ以上にワールドクラスに出ることで新しいコミュニティーが広がりますよ!
他の大会と比べてワールドクラスの違うところは?
ワールドクラスはカクテルや技術はもちろんですが、バーテンダーの個性やホスピタリティをよく見られます。
人柄やお仕事への姿勢など普段から当たり前にできていないと通用しません。大会用の自分ではなく、ありのままの自分を表現できるように普段の生活から意識することが大切です。怖がらずに自分の個性を大事にしてください!
ご自身はどんなバーテンダーだと思いますか?
元気で明るいハツラツ!太陽みたいと周りの方からはよく言っていただいて、嬉しく思っています。初めて行くバーの扉を開けるのは緊張されると思いますが、麦家に来られたお客様には来たときより帰るときに元気になってもらいたいと思っていますし、そういう雰囲気作りをしています。
ワールドクラスに参加してからやり始めたことは?
私は英会話です!競技自体は通訳の方がいらっしゃるので心配ないですが、プライベートの時間で英語が話せたらもっと仲良くなれたのにと、話せないことがとても悔しかったです。グローバルでは選手同士だけでなく、歴代チャンピオンや世界のバー業界の方と話せるチャンスがたくさんあります。そのチャンスを無駄にしないように英会話を勉強されることはオススメです!ペラペラ話せるようになるというより、怖がらずに笑顔でコミュニケーションがとれるように日々勉強がんばります!
緒方 唯(オガタ ユイ)
Wine & Bar 麦家
ワールドクラス2022日本代表
ワールドクラス世界大会で学んだところ、難しかったところは?
2021年のグローバルファイナルはバーチャル大会となった為、過去の大会のように実際に審査員の前でプレゼンテーションをしたりカクテルを作ったりという事が出来ませんでした。現地にいるアバターバーテンダーが自分のカクテルを作ってくれたのですが、唯一自分を表現できるカクテルの材料一式も現在の社会情勢の影響を受けて会場に到着しませんでした。自分自身でカクテルも作れない。材料も届かない…ワールドクラスに挑戦する以前の自分ならその時点で辞退する事も考えたと思います。ですが大事なのは、「今、この状況で自分が最大限、何ができるか?」を考えて行動する事。それが日本大会を経験して自然と身についていました。それはそこにたどり着くまでに支えていただいたり、応援していただいた方々の存在のお陰です。結果を出す事は出来ませんでしたが、他では経験する事ができない特別な経験をする事ができた世界大会でした。
なぜワールドクラスに参加しようと思ったのですか?
シンガポール在住時に歴代の日本チャンピオンの方々とお会いする機会が多くあったのですが、その中でも2015年に世界チャンピオンになられてすぐの金子さんにシンガポールでお会いした時にかっこよくて憧れを持ちました。その後、色々な方々にワールドクラスの話を聞かせていただいたり、過去の映像を観たりしていたのですが、自分はまだ大会に出られるレベルじゃないと思っていました。参加しようかどうか迷っていた自分の背中を最後に押して下さったのもまた金子さんでした。
ワールドクラスに参加してからやり始めたことは?
クリエイティビティやオリジナリティなどの難しい事に目が行きがちですが、世界大会で他の国のバーテンダーを見て感じたことは、「カクテルってもっと自由で、もっと楽しくていい!」 楽しそうにバーテンディングしている雰囲気を見て、思わずこっちまで楽しくなっていることに気付きました。それ以来、眉間にしわをよせてカクテルを作ったり飲んだりする事をやめて、まずは自分自身が楽しみながらバーテンディングする事を意識するようになりました!
ご自身はどんなバーテンダーだと思いますか?
また、カクテル開発のアプローチを教えてください。
自分はどんなバーテンダーかと問われたら「熊本のセールスマン」です。ローカルコミュニティを大切にしていて、店で作るカクテルは熊本の魅力が詰まったものを意識して作っています。店のシグネチャーカクテルも、そのアプローチの仕方で考えるようにしています。カクテルのテイストやバランスはもちろんですが、一杯のカクテルの中に「模造されにくい特別感」と「ちょっとしたサプライズ」を組み込むようにしています。それによって熊本で飲む意味のある一杯になっていくと思っています。ただ、最近あらためて自分自身、苦手意識のあったクラシックカクテルもスタッフと練習しています。クラシックカクテルのトレーニングは発想というよりも基礎の部分を磨くため。そこを磨き直す事によってオリジナルカクテルのクオリティーも常にアップデートしていこうと取り組んでいます。
木場 進哉(コバ シンヤ)
夜香木
ワールドクラス2021日本代表
なぜワールドクラスに参加しようと思ったのですか?
第一回目のワールドクラスを観戦し、華やかな舞台、画期的なカクテルの数々を目の当たりにし、翌年から早速応募をしました。そう簡単に勝利をつかみ取ることは出来ず、優勝させていただいた2019年まで毎年チャレンジし、リザーブブランドに関する知識、カクテルの歴史や、様々な技法を学び、年々自分が成長してゆくのを実感できました。最初はただの好奇心で応募したワールドクラスでしたが、カクテルを作ることというよりは勉強し知識を深められることが楽しくて、どんどん夢中になりました。勝利まであきらめず、挑み続けて本当に良かったと強く感じています。
初めて挑戦する人へのアドバイスをお願いします。
最初は難しくて何をしていいのか、ということすらわからないこともあると思います。しかし、誰もが「初めて」は必ず体験するものです。ワールドクラスに挑戦し、チャレンジに懸命に臨み、自分のカクテルと向き合い、他の出場選手が作ったカクテルを研究していくことで、おのずと自分がワールドクラスで表現したいこと、作りたいカクテルなどがわかってくるはずです。まずは恐れることなくワールドクラスに応募し、諦めることなく挑戦し続けてほしいと思います。「継続は力なり」。挑み続けたその先には必ず成長した自分が待っているはずです。ひたすらに頑張っていただきたいと思います。
ワールドクラスに参加してからやり始めたことは?
「あたりまえ」という考え方を極力しないようになりました。普段は使わない材料、捨ててしまうもの、スタンダードカクテルのレシピなど、今まで同じように繰り返してきたことを、今一度見直してみるようにしています。世界大会に出場し、海外の選手と接する中で、感じ取れたことは、発想力が豊かだということです。自身が考えたアイデアやカクテルを恥ずかしがらずに発表し、自分を表現することがとても上手だと思います。その力を私も習得したいので、上記のように自分の行動を見つめ直してみると、新しい発見があったりします。ワールドクラスに参加してから、そのような思想、行動の変化が表れたと思います。
吉田 宏樹(ヨシダ ヒロキ)
ホテルニューオータニ Bar Capri
ワールドクラス2019日本代表
ワールドクラスについてお聞かせください。
私がワールドクラスに参加しようと思ったのは、将来に役立つと考えたからです。そして、参加したことで、将来の目標がより大きくなったと思います。ワールドクラスで出会った多くの方々から影響を受けましたが、特に1人挙げるとすれば、2017年優勝者のケイトリン・スチュワートさんです。彼女のプレゼンテーションには、考え方の基本が詰まっていました。それがきっかけで、バーテンダーの視点だけでなく、様々な視点で考え、学ぶようになりました。ワールドクラスは、バーテンダーの基礎から、バー業界の枠を越えた社会全体のトレンドまで学ぶことまで出来る、素晴らしいプラットフォームだと思います。その経験を活かして、自分が目標としていた店を持つこともできました。
初めて挑戦する人へのアドバイスをお願いします。
まずは、ワールドクラスのコンセプトをしっかりと理解することが大切だと思います。だから、色々と調べた上でカクテルを作り始めることをお勧めします。もし未経験でも、十分な理解があれば、上位に入るチャンスは高いでしょう。そして、課題が増えていく中で行き詰まってしまった時、周りの方々の意見を聞き、それらを上手に活かすことが出来るバーテンダーは、ワールドクラスでうまくいくと思います(私は苦手でしたが)。今年、世界は大きく変わりました。過去に囚われることの無い、大きく前進した考えのカクテルが期待されます。
シグネチャーカクテルをどう捉えていますか?
シグネチャーカクテルは、人によって捉え方が微妙に変わるものだと思います。だからこそ、まず必要なのは、自分が思うシグネチャーカクテルのコンセプトを持ち、そこからブレないこと。コンセプトは、キャッチフレーズのように一言で表現出来ると良いですね。そして、魅力的なストーリーがあること。お店でお客様に注文いただくことを想定すると、より多くのお客様に受け入れられる味わいで、ある程度のシンプルさも必要になってくると思います。
槇永 優(マキナガ スグル)
Bar Leaf
ワールドクラス2017日本代表
初めて挑戦する人へのアドバイスをお願いします。
自分の今まで体験してきたことを信じて、カクテルに落とし込んで欲しいです。時代時代の流行も大切ですけど、自分がこれはカッコいいと思うことがあったらそこをブラッシュアップすればいいじゃないですか。あの人はこうしてるとか、この人はどうしてるといったことで自分の無限の可能性を固めて欲しくないです。失敗を恐れず、自由なトライをしてもらいたいです。もちろんブランドへのリスペクトは忘れないでください。
他の大会と比べてワールドクラスの違うところは?
大会だけでなく、バーテンダーという仕事の全てにプログラムがあります。これは他の大会に比べて全く違うところです。そしてそこの素晴らしい部分はカクテルアットホームなどのお店と違った場所でのプログラムなども最終的にはワールドクラスの大会に使えるものばかりです。全てがリンクしているのです。実際仕事をする際にもすぐに使えるものばかりですし、逆に普段の仕事のアイデアもすぐに大会に使えるのも素晴らしいところだと思います。
シグネチャーカクテルをどう捉えていますか?
誰に出しても大丈夫な説得力があること。新しいアイデアやまだ見ぬ材料を使うことも一つだと思いますが、コンセプトがしっかりしていて、かつユニークであれば、必ず印象に残るカクテルになります。コンセプトベースのブレているカクテルは説得力が足りないように感じてしまいます。既存のカクテルに少しのアイデアが入ったものでも、十分なシグネチャーカクテルになると考えています。そしてそれが考案された方のスペシャリテになれば最高です。クラシックも初めは誰かのシグネチャーです。あまり難しく考えないようにはしています。
藤井 隆(フジイ リュウ)
CRAFTROOM
ワールドクラス2016日本代表
ワールドクラス世界大会で学んだところ、難しかったところは?
2021年のグローバルファイナルはバーチャル大会となった為、過去の大会のように実際に審査員の前でプレゼンテーションをしたりカクテルを作ったりという事が出来ませんでした。現地にいるアバターバーテンダーが自分のカクテルを作ってくれたのですが、唯一自分を表現できるカクテルの材料一式も現在の社会情勢の影響を受けて会場に到着しませんでした。自分自身でカクテルも作れない。材料も届かない…ワールドクラスに挑戦する以前の自分ならその時点で辞退する事も考えたと思います。ですが大事なのは、「今、この状況で自分が最大限、何ができるか?」を考えて行動する事。それが日本大会を経験して自然と身についていました。それはそこにたどり着くまでに支えていただいたり、応援していただいた方々の存在のお陰です。結果を出す事は出来ませんでしたが、他では経験する事ができない特別な経験をする事ができた世界大会でした。
なぜワールドクラスに参加しようと思ったのですか?
シンガポール在住時に歴代の日本チャンピオンの方々とお会いする機会が多くあったのですが、その中でも2015年に世界チャンピオンになられてすぐの金子さんにシンガポールでお会いした時にかっこよくて憧れを持ちました。その後、色々な方々にワールドクラスの話を聞かせていただいたり、過去の映像を観たりしていたのですが、自分はまだ大会に出られるレベルじゃないと思っていました。参加しようかどうか迷っていた自分の背中を最後に押して下さったのもまた金子さんでした。
ワールドクラスに参加してからやり始めたことは?
クリエイティビティやオリジナリティなどの難しい事に目が行きがちですが、世界大会で他の国のバーテンダーを見て感じたことは、「カクテルってもっと自由で、もっと楽しくていい!」 楽しそうにバーテンディングしている雰囲気を見て、思わずこっちまで楽しくなっていることに気付きました。それ以来、眉間にしわをよせてカクテルを作ったり飲んだりする事をやめて、まずは自分自身が楽しみながらバーテンディングする事を意識するようになりました!
ご自身はどんなバーテンダーだと思いますか?
また、カクテル開発のアプローチを教えてください。
自分はどんなバーテンダーかと問われたら「熊本のセールスマン」です。ローカルコミュニティを大切にしていて、店で作るカクテルは熊本の魅力が詰まったものを意識して作っています。店のシグネチャーカクテルも、そのアプローチの仕方で考えるようにしています。カクテルのテイストやバランスはもちろんですが、一杯のカクテルの中に「模造されにくい特別感」と「ちょっとしたサプライズ」を組み込むようにしています。それによって熊本で飲む意味のある一杯になっていくと思っています。ただ、最近あらためて自分自身、苦手意識のあったクラシックカクテルもスタッフと練習しています。クラシックカクテルのトレーニングは発想というよりも基礎の部分を磨くため。そこを磨き直す事によってオリジナルカクテルのクオリティーも常にアップデートしていこうと取り組んでいます。
木場 進哉(コバ シンヤ)
夜香木
ワールドクラス2021日本代表
なぜワールドクラスに参加しようと思ったのですか?
第一回目のワールドクラスを観戦し、華やかな舞台、画期的なカクテルの数々を目の当たりにし、翌年から早速応募をしました。そう簡単に勝利をつかみ取ることは出来ず、優勝させていただいた2019年まで毎年チャレンジし、リザーブブランドに関する知識、カクテルの歴史や、様々な技法を学び、年々自分が成長してゆくのを実感できました。最初はただの好奇心で応募したワールドクラスでしたが、カクテルを作ることというよりは勉強し知識を深められることが楽しくて、どんどん夢中になりました。勝利まであきらめず、挑み続けて本当に良かったと強く感じています。
初めて挑戦する人へのアドバイスをお願いします。
最初は難しくて何をしていいのか、ということすらわからないこともあると思います。しかし、誰もが「初めて」は必ず体験するものです。ワールドクラスに挑戦し、チャレンジに懸命に臨み、自分のカクテルと向き合い、他の出場選手が作ったカクテルを研究していくことで、おのずと自分がワールドクラスで表現したいこと、作りたいカクテルなどがわかってくるはずです。まずは恐れることなくワールドクラスに応募し、諦めることなく挑戦し続けてほしいと思います。「継続は力なり」。挑み続けたその先には必ず成長した自分が待っているはずです。ひたすらに頑張っていただきたいと思います。
ワールドクラスに参加してからやり始めたことは?
「あたりまえ」という考え方を極力しないようになりました。普段は使わない材料、捨ててしまうもの、スタンダードカクテルのレシピなど、今まで同じように繰り返してきたことを、今一度見直してみるようにしています。世界大会に出場し、海外の選手と接する中で、感じ取れたことは、発想力が豊かだということです。自身が考えたアイデアやカクテルを恥ずかしがらずに発表し、自分を表現することがとても上手だと思います。その力を私も習得したいので、上記のように自分の行動を見つめ直してみると、新しい発見があったりします。ワールドクラスに参加してから、そのような思想、行動の変化が表れたと思います。
吉田 宏樹(ヨシダ ヒロキ)
ホテルニューオータニ Bar Capri
ワールドクラス2019日本代表
ワールドクラスについてお聞かせください。
私がワールドクラスに参加しようと思ったのは、将来に役立つと考えたからです。そして、参加したことで、将来の目標がより大きくなったと思います。ワールドクラスで出会った多くの方々から影響を受けましたが、特に1人挙げるとすれば、2017年優勝者のケイトリン・スチュワートさんです。彼女のプレゼンテーションには、考え方の基本が詰まっていました。それがきっかけで、バーテンダーの視点だけでなく、様々な視点で考え、学ぶようになりました。ワールドクラスは、バーテンダーの基礎から、バー業界の枠を越えた社会全体のトレンドまで学ぶことまで出来る、素晴らしいプラットフォームだと思います。その経験を活かして、自分が目標としていた店を持つこともできました。
初めて挑戦する人へのアドバイスをお願いします。
まずは、ワールドクラスのコンセプトをしっかりと理解することが大切だと思います。だから、色々と調べた上でカクテルを作り始めることをお勧めします。もし未経験でも、十分な理解があれば、上位に入るチャンスは高いでしょう。そして、課題が増えていく中で行き詰まってしまった時、周りの方々の意見を聞き、それらを上手に活かすことが出来るバーテンダーは、ワールドクラスでうまくいくと思います(私は苦手でしたが)。今年、世界は大きく変わりました。過去に囚われることの無い、大きく前進した考えのカクテルが期待されます。
シグネチャーカクテルをどう捉えていますか?
シグネチャーカクテルは、人によって捉え方が微妙に変わるものだと思います。だからこそ、まず必要なのは、自分が思うシグネチャーカクテルのコンセプトを持ち、そこからブレないこと。コンセプトは、キャッチフレーズのように一言で表現出来ると良いですね。そして、魅力的なストーリーがあること。お店でお客様に注文いただくことを想定すると、より多くのお客様に受け入れられる味わいで、ある程度のシンプルさも必要になってくると思います。
槇永 優(マキナガ スグル)
Bar Leaf
ワールドクラス2017日本代表
初めて挑戦する人へのアドバイスをお願いします。
自分の今まで体験してきたことを信じて、カクテルに落とし込んで欲しいです。時代時代の流行も大切ですけど、自分がこれはカッコいいと思うことがあったらそこをブラッシュアップすればいいじゃないですか。あの人はこうしてるとか、この人はどうしてるといったことで自分の無限の可能性を固めて欲しくないです。失敗を恐れず、自由なトライをしてもらいたいです。もちろんブランドへのリスペクトは忘れないでください。
他の大会と比べてワールドクラスの違うところは?
大会だけでなく、バーテンダーという仕事の全てにプログラムがあります。これは他の大会に比べて全く違うところです。そしてそこの素晴らしい部分はカクテルアットホームなどのお店と違った場所でのプログラムなども最終的にはワールドクラスの大会に使えるものばかりです。全てがリンクしているのです。実際仕事をする際にもすぐに使えるものばかりですし、逆に普段の仕事のアイデアもすぐに大会に使えるのも素晴らしいところだと思います。
シグネチャーカクテルをどう捉えていますか?
誰に出しても大丈夫な説得力があること。新しいアイデアやまだ見ぬ材料を使うことも一つだと思いますが、コンセプトがしっかりしていて、かつユニークであれば、必ず印象に残るカクテルになります。コンセプトベースのブレているカクテルは説得力が足りないように感じてしまいます。既存のカクテルに少しのアイデアが入ったものでも、十分なシグネチャーカクテルになると考えています。そしてそれが考案された方のスペシャリテになれば最高です。クラシックも初めは誰かのシグネチャーです。あまり難しく考えないようにはしています。
藤井 隆(フジイ リュウ)
CRAFTROOM
ワールドクラス2016日本代表